花のひと その人は 山野草に囲まれて暮らしている (菊花文蕎麦猪口 藤塚光男) 生活できるだけの最小限の道具は 好みのものに限られ 全てが居心地のいい場所におさまっている 作為のあるものを嫌い 自然のありようを大切にしている その人は時々 庭に出ては 花の名を教えてくれる 季節に咲く小さな花は その人といっしょに 静かに風の中で揺れている