片月 十五夜の月があまりにきれいだったから あれから月の出を待つようになった 山本英樹 銀彩花入 欠けていく月の出は 少しずつ遅くなっていって 立待月 居待月 寝待月 さらには更待月へ 遥か遠い昔に おなじ月を見て描いた絵を そこにみたとき ポン と 時が飛んで 同じ空間にいるような感覚になる 幾百年と時を経て 生活は大きく変わったけれど だいじに残された 古の絵や詩に 思いや感触が同じようだと感じるとき ひとは 今も昔も変わらないと思う