コンテンツへスキップ
これは?
と よく聞かれます

振出し 橋村大作
お茶の席で金平糖などを入れる菓子器です
中の金平糖を振り出してとることから
振出しという名がついています

蓋はトウモロコシの皮でこしらえています
いずれも 手の細やかな いい仕事です

クラックを加えた透明なガラスの振出しは
中の金平糖をきらきらと反射させ
光も一緒にいただけそうです

もちろんお茶の席でなくても
かたわらの棚の上において
時おり降っては中の金平糖を
一つぶいただく
ほんわりといい時間が過ごせそうです

母に贈った鉢花は
毎年花をつけるのと言いながら
ひと枝手折り差し出した

薪小壺 尾形アツシ
花の嬉しさを
そのままに
水を張ったうつわに
差し入れた

花は色を添え
まわりの気配を
小さく変えた

ひとがうつわを扱うようになってから
どれほどの時が経ったのか
色も
カタチも
材質も

幾つものうつわが生まれ
生まれ続けている
同じようなものでも
けして同じではない

設楽さんのつくるうつわには
凛とした静寂がある
おなじようなうつわは
誰にでもつくれる
でもこのうつわは
ただひとつだけ

設楽享良 白磁面取大汲出碗
手にして
使ってみれば
よくわかる
好きな色は?と聞かれて
迷わず白と答えるようになったのは
いつ頃からだろうか

以来いろいろな白にめぐりあっているが
設楽さんの白は
なかでもとりわけて好きな白だと
向かう電車の中で一人思いめぐらす

栃木の矢板の山のなか
設楽享良さんの
うつわの買付に工房をたずねた

その白は
手にしてじっくり見ればみるほど
こちらの身に
じわりと沁み入る
気が付けば白磁のうつわばかり
手に収めた
