橘の香をなつかしみほととぎす
花ちるさとをたづねてぞ訪う
(源氏物語)
橘の香をなつかしみほととぎす
花ちるさとをたづねてぞ訪う
(源氏物語)
木の間より漏りくる月の影見れば
心づくしの秋は来にけり
(古今和歌集)
空に
この盃に
月
潭底を穿って水に痕なし
(禅語)
このころの秋の朝明に霧隠り
妻呼ぶ鹿の声のさやけさ
(万葉集)
白き芙蓉 あかき芙蓉と かさなりて
児のゆく空に 秋の雨ふる
(与謝野鉄幹)
白露が草木にかかる月の空
風は呼ぶ
秋にこがれる 手のうつわ
ガラス戸の外は月あかし森の上に
白雲長くたなびける見ゆ
(正岡子規)
鉄鉢に明日の米あり夕涼
(良寛)
夏の終わりの
すずしさは
チリリとなる風のそよ
無造作に置かれたカップ
暗い部屋に
ことり
たたずむ