銀河

 

 

とどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、そこら中に沈めたという具合、またダイアモンド会社で、値段がやすくならないために、わざと穫れないふりをして、かくしておいた金剛石を誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼を擦ってしまいました。

(銀河鉄道の夜 宮沢賢治 銀河鉄道の夜から)